就職活動真っ盛りの季節でしょうか。
最近は、企業のリクルート用動画を制作しています。
人口が減少し続ける中、各企業は新卒者の採用にあらゆる場面で競争が強いられます。
小さな企業になると、ネイムバリューもないため、きちんとした業務をされているにも関わらず、ほとんど応募者が来ないという状況が昨年から続いているそうです。
リクルート用動画は、そんな名も知れない企業の良い所を引き出し、
具体的には何をしているのか、実際働くとどんな良いところや、厳しいところがあるのかを伝えるものを作っています。
ここで思うのが、就職活動をする学生さんの心境です。
学生さんそれぞれに、あらゆる動機があるのでしょうが、
とりあえず大手企業を片っ端から受けてみるというのが、最近の傾向のようで、
どの会社に入りたい、どんなスキルを身に付けたいといった具体的な志望動機をもっている子は少ないそうです。
最近、地域の番組制作などで大学生とお話する機会が多く、分かったことなのですが、先述の理由としては、現在就職活動をされている世代の方は比較的、親の収入が薄く、幼少から不安定な生活感を抱えており、まず人生の目的として、安定して暮らしていける事が第一にあるようです。
20代後半で結婚をして、マンションを買い、共働きでいくら貯金して、子供には不自由なく学校に通わせ、老後の計画をたてる。そういったビジョンを最初からしっかりと持っているようです。
そのため、何をしたいかが優先ではなく、どの企業がそのビジョンに見合うかで、就職活動をされている学生さんが多いという事です。
それに反応し、大企業は、現在甘やかしの社員育成方針をとっています。まず、時間のかかる難しい仕事や、苦労を伴う仕事は最初からさせない。そして、研修制度の充実、さらにはメンター制度まで取り入れているようです。
新入社員それぞれに、メンター社員が付きます。それは現場の上司ではなく、専門のサポート役の社員だそうです。新入社員の相談役でもあり、仕事の悩みを解消し、スキルアップ、キャリアアップのためのアドバイスももらえます。
実際にそんな事ができているのかどうかはあやしいところですが、求人にはそういった制度を掲げる事で、新卒者を引き付ける手段になっているようです。
大企業が社員が若手社員が辞めないようにと、妙に気を使うという不思議な状況に感じます。そんな状態で育成された若手社員は、社会経済を引っ張る大手企業のたくましいリーダーとなっていけるのでしょうか?
とそれは、さておき、ちょっと待てよ、
我々の仕事において、今までの話を置き換えると、どうも噛み合わない!
我々は、テレビ番組制作や映像コンテンツの制作という比較的クリエイティブなお仕事をさせていただいているのですが、まずは、スキルアップ、これは特に研修を受けているわけではなく、現場の仕事をこなし、失敗を繰り返しながら身につき、業務後に自分で復習、検証する事によってスキルが上がっていくもの。
解らないところは、自分で勉強したあと先輩に聞けば、情報が倍になって教えてくれる。要はその身についたスキルというのは、丁寧に誰かから教わって得られるものではなくて、自らの経験で得ている要素の方が強いのです。少なくともそうやって得たスキルやノウハウは、何にも代えがたい充実と歓びです。
また、メンター制度に関しては、目的は親身に相談に乗って悩みを解決する事だと思いますが、これも、現場で懸命にもがいて、音を上げたりする事で、先輩が見るに見かねて、ごく自然に相談に乗ってくれるものだと思います。
「じゃあ、飲みにいくかぁ」って。
就業規定や教育制度を体系化して、社員の採用や育成を行うことも一つだと思いますが、まず、仕事をして歓びを得られるという感覚がなければ、教える方も、教わる方も愛情を持って人と接し、社会と接することはできないという事だと思った次第です。
ただ、その歓びを得られなくなるほど、仕事を押し付けるのは絶対NG!